こまめな手入れが必要なマット塗装

マット塗装がつや消しに見える仕組み

一般的な光沢のある塗装と比較すると、マット塗装は表面に非常に細かい凹凸があるため、光がその表面に当たった時に均一に反射しません。
光沢のある塗装では、光が表面に当たると光線が一定の方向に反射し、これが鏡のように見える原因となります。
つまり、光が滑らかな表面から反射するとき、その反射光が目に入る方向が限定され強い輝きや光沢として認識されるのです。

一方、マット塗装の表面は微細な凹凸によって構成されており、この凹凸が光を乱反射させます。
乱反射とは光が多方向に散乱される現象のことで、このために塗装全体が均一に光を反射せず、見る角度にかかわらず光沢感が抑えられるのです。
結果として表面からの反射光が目に入りにくくなり、視覚的につや消しに見えます。

このマット仕上げは、塗料の種類や塗装時の技術によっても変わります。
特定のマット塗料には光を散乱させるように設計された粒子が含まれている場合があり、これがさらにつや消し効果を強化します。
また、塗装工程での乾燥方法や塗料の層の厚さの調整も、最終的な表面の質感に影響を与える重要な要素です。

マット塗装にこまめな手入れが必要な理由とは?

マット塗装の表面は光沢のある塗装に比べて凹凸が多く、この微細な構造が汚れやほこりを引き寄せやすく、また、それらが定着しやすいという特徴があります。
一度汚れが付着すると、その凹凸のために汚れを落とすことが難しくなり、通常の光沢のある塗装よりも手間がかかるのです。

また、マット塗装の表面は傷がつきやすい傾向にあります。
光沢塗装の場合、表面の滑らかさが小さな傷を目立たなくさせることがありますが、マット塗装ではその凹凸が逆に傷を際立たせてしまうのです。
そのため、傷を防ぐためにも定期的な清掃と保護が必要になります。

マット塗装のお手入れ方法

マット塗装のお手入れには注意が必要です。
その理由は、マット塗装の独特な質感と表面の微細な凹凸が、不適切なお手入れ方法によって容易に損傷してしまうからです。

まず洗車を行う際には、必ず中性洗剤(もしくは弱酸性洗剤)を使用してください。
アルカリ性や酸性の強い洗剤は、マット塗装の質感を損なう恐れがあるため避けるべきです。
洗車の際には柔らかいスポンジやマイクロファイバーのクロスを使用し、塗装表面を優しく洗いましょう。
強くこすると、マット塗装の微細な凹凸が損傷したり表面に微細な傷がついたりすることがあるため、軽いタッチで汚れを落とします。

洗車後は、十分に水分を拭き取ることが重要です。
マイクロファイバーのタオルを使って水滴を優しく拭き取りますが、このときも強くこすらずに軽く押さえるようにして水分を吸収させるのがコツです。
水分が残っていると塗装表面に水垢ができる原因になりますので、特に細部にまで注意して拭き取りましょう。