カテゴリー: 修理ブログ

  • タイヤの寿命について

    タイヤ交換の必要性

    命を乗せて走るタイヤですが、ゴムでできていることから経年劣化によって機能が次第に落ちていってしまいます。
    長く走行していると道路との摩耗でタイヤの溝がどんどんすり減っていくので、時期を見て交換をしていくことが必要です。

    まずタイヤで使用されているゴムですが、全く使用をしていないという場合であっても空気に触れていると乾燥からひび割れを起こしやすくなってしまいます。
    輪ゴムなどを放置してしばらくすると全く弾力がなくなり引っ張っただけでぷちんと切れてしまいますが、タイヤも基本的にはそれと同じような性質をしています。

    硬化したゴムは破損を起こしやすくなるため、高速で走行をした時に振動や衝撃で破裂をしてしまう危険もあります。
    バイクの場合走行中に突然破裂をするとかなり危険な状況となるのでそうなる前に早めに点検しておくようにしましょう。

    普通バイクのタイヤ交換というと、釘などを踏んで大きく破損をした場合もしくはタイヤの溝がなくなってしまった時と思いがちですが、一定期間が経過したタイヤは全く使用していなくても劣化をしているので必ず交換をしてください。

    タイヤ交換の時期

    そこでタイヤ交換の時期についてですが、もし全く乗らなかった期間が3年以上経過したものは交換を考えた方がよいでしょう。
    丁寧に乗った場合にはタイヤの寿命が伸びますので、適度に走行をしてタイヤを柔軟にしてあげるようにしてください。

    なおタイヤには必ず製造年月を示す刻印が入っています。
    タイヤ側面に入っている記号と数字がそれで、2000年以前に生産されたものは数字3桁、それ以降のものは4桁となっています。

    この数字は最初の2桁が製造週を示し、次の2桁が製造年を示しています。
    例えば4202という数字が記載されている場合は、2002年の45週目に作られたということになります。

    タイヤを点検する時には溝部分だけでなくこの年数もきちんと見て製造から4~5年が経過しているものはできるだけ交換するようにしてください。

    おすすめのタイヤ交換方法

    バイクのタイヤ交換は、業者に依頼をするのが一番簡単で確実です。
    自動車の場合四輪のタイヤはすべて同じサイズのものを使用しますが、バイクはモデルにより前輪・後輪でサイズや仕様が異なることがよくあります。

    タイヤ交換をした時には前後のバランスチェックが必要になりますので、自分でできる自信がなければ不用意に取り外しはしないほうがよいかもしれません。

    自分で行う場合には、まずしっかり交換のためのスペースを用意するとともに、レンチやソケット、バイクスタンドなどの道具を準備していきます。
    詳しくは付属のサービスマニュアルを参照にしてもらいたいですが、かなり本格的な道具が必要となります。

  • ステムシャフトの曲り、歪み

    正面から見ると…

    バイクを走行させるとおかしな振動を感じるようになったのでパンクでもしたかな?と思って確認したところ問題ないので何がおかしいのか見てもらいたいとのことで修理を依頼されたスクーターがありました。
    確認させてもらったところ確かにパンクをしていない状態で特に問題はなさそうに感じられましたが、もしやと思い正面からバイクを見てみると明らかにタイヤが曲がっていたのです。
    真っ先に疑ったのはフロントフォークに曲りが生じてしまったか、ホイールに歪みが生じてしまったのかと思いましたが、特に大きな傷も見られなかったこと、ホイールが大きく振れることもなかったので他に原因があると考えました。

    お客様の話によると、ひょっとしたら数日前にコンビニに入ろうとした際に段差を乗り越えたところ転んでしまい、その時から走行時におかしな振動を感じるようになったとのことでした。
    転倒した衝撃でステムシャフトの曲りもしくは歪みが生じている可能性が高いと判断し、バラしてみることにしました。

    タイヤが曲がっていた原因が判明!

    分解をしてみた結果、タイヤに曲りが生じていた原因がわかりました。
    フロントサスペンションのボトムリンクに原因があったようです。
    ボトムリンクのピボットシャフトがグリス切れで固まっていたことが悪かったようです。

    どうやら段差を乗り越えようとした衝撃で、サスペンションがフルストロークしたことで戻らなくなってホイールがずれたまま段差を乗り越えたのでタイヤの荷重が抜けてしまい転倒に至ったのだと考えられます。
    ホイルベアリングを交換し、清掃とグリスアップをして元通りにしたところ問題なく走行できる状態になりました。
    特に大きな修理を行ったわけでもなく、転倒時の怪我もなかったようなので大事に至らず良かったですが、できれば定期的にボトムリンクのグリスアップをしておけば良かったのかもしれません。
    いずれにしても結果論に過ぎませんが、日頃のメンテナンスをしっかり行うようにしておくことが事故を防ぎ余計な出費を防ぐ第一歩になると考えておくと良いでしょう。

    フロントフォークが曲がっていた場合

    今回最初に疑ったフロントフォークの曲りもよく修理で行う部分です。
    走行しているとハンドルを真っ直ぐにしているつもりなのに、なぜか右または左へと自然に曲がっていくという現象が見られる場合があります。
    転倒後によくある症状ですが、自分でも簡単に調整することもできるのでぜひお試しください。

    まずはトップブリッジにあるナットをゆるめ、フロントフォークの上にあるボルトもゆるめ、フェンダーの根元とアクスルシャフトにあるボルトもゆるめてからハンドルを持ってフロントフォークを何回かストロークさせてゆるめたボルトを全て元通りにするだけです。
    これで直らなければプロに相談をして早めに調整しましょう。

  • 外国製のスクーター

    乗りやすさが魅力だけど…

    スクーターは日本でも幅広い年齢層の方が使用しており、様々な種類のスクーターが流通しています。
    国産メーカーのスクーターも多いですが、最近は外国製スクーターの数も増えています。
    国産の場合は取り扱っているメーカーが限られている一方で、外国製については様々なメーカーで取り扱っており品質も良いです。
    国産以外にも外国製を選択肢の一つとして検討する方も多く、実際に愛用している方が増えています。

    外国製のスクーターを所有するお客様が増えてくると、修理の依頼が入る件数も多くなってきます。
    当店のお客様にもスクーターが好きで、アジアやヨーロッパなどのメーカー製スクーターを数台所有している方がいます。
    国産メーカーの外観とは異なるカッコよさがあるため、入庫してくると他のお客様からどこのスクーターなの?とよく聞かれます。
    外国製スクーターは国産とは異なるカッコよさがあり、乗り心地なども全く異なる点が魅力的だと考えている方も多いようです。

    国産より修理が難しい!?

    さて、そんな魅力溢れる外国製スクーターですが、修理の依頼を受けると困ってしまうことがあります。
    日本の修理業者としてかなり痛い話なのですが、外国製のスクーターはなかなか部品を入手しにくいのです。
    最近は日本でも外国製スクーターの人気が出てきたこともあり、販売代理店などに部品の在庫を確保するようにしているケースも増えています。
    それでも古い車種になるほど部品を入手できるケースが少なくなり、なかなか思うように修理が進まないケースがたくさんあるのです。

    今回修理を依頼されたヨーロッパにあるバイクメーカーのスクーターは、たまたま燃料ホースを取り替えだけで済んだため、すぐに部品を確保することができました。
    しかし、難しい部分が故障していたため新品に交換しなければいけないという場合には簡単に部品が見つからないため修理することも難しいという状況になるかもしれません。
    国内に部品がない場合には、メーカーの本社に問い合わせをしてみなければいけない場合もあるため、仮に部品が供給されていたとしても日本に届くまでには時間が必要になりますし、部品代としてもかなり高くつくことも予想されます。
    場合によっては部品代よりも送料の方が高くなることも考えられるため、お客様にとっても腑に落ちない部分があるかもしれません。

    修理を行う立場としては、明らかに故障している部分がわかっているのに修理するための部品がないばかりに修理ができないなんてもったいない話です。
    できるだけ元通り走行できる状態に戻したいのですが、思うように直せないとなれば自分の不甲斐なさを感じてしまいます。
    できれば、国内に部品のストックをしているメーカーの製品を購入していただいた方が万が一の時にも対応しやすいです。

  • 自分で修理すると逆に高くつくことも…

    失敗することもあるのです

    大事に思っている愛車だからこそ、自分でお手入れをして長く乗り続けたいと考えるのは当然です。
    自分の好きなバイクへとコツコツ時間をかけてカスタムするのも楽しいもので、休日になれば一日中でもバイクをいじっているという方も多いはずです。

    バイクの修理やカスタムを自分ですると費用があまり高額にならないという利点があります。
    修理店などに依頼するとどうしても工賃が発生しますが、自分で行うならかかるお金は材料費だけなので工賃分を安く仕上げることができるのです。
    でも、場合によっては自分で修理すると逆に高くつくことがあるかもしれないというお話をご紹介します。

    取り付け方を間違えていた!

    今回ご紹介するお客様も、普段からバイクをいじるのが好きな方だったのですが、自分でマフラーの塗装をして取り換えてみたところ排気ガスが漏れて大変なことになり、これ以上は手の施しようがないとSOSを求めてきました。
    実はこのような事例は決して珍しくなく、特にバイクいじりを始めたばかりの方に多いという印象を受けます。

    早速バイクを確認してみたところ、エキパイのフランジが違う組み方をしていたことが原因だったようでガスケットに面圧がかからない状況になっていました。
    また、エキパイとマフラーのジョイントガスケットが無残なくらいボロボロになっていたので交換することにしました。

    更に、カバーの塗装を行う際に外したまま動かしたことでステーターコイルの配線まで切ってしまうといたようです。
    配線を元通りにして組み立てをしようと思ったら、今度はガイドプレートも存在していません。
    この部品も大事なのできちんと新しいものを取り付けることにしました。

    アクセルが効かなくなった!

    走行途中でいきなりアクセルが効かなくなったので見てもらいたいと来店されたお客様がいました。
    当店のすぐ近くでアクセルが効かなくなったので慌てて自分で押して来店されたそうです。
    このお客様も自分でバイクをいじるのが好きな方で、ひょっとしたら自分のやり方がまずかったのだろうかと不安そうな顔をされていました。

    確認をしたところ、グリップ部分のアクセルワイヤーが切れていたことが原因でした。
    お客様も心当たりがあったらしく、きっとあの時にワイヤーをラジオペンチでつまんでしまったのが悪かったのかな…と言っていました。
    おそらくこの時につまんだ負担が時間と共に切断されてしまった結果を生んだのだと考えられます。

    今回のように自分でバイクをいじったことが原因で結局はお金がかかることになってしまったという事例は少なくありませんが、少し高かった勉強料だと前向きに考えて次回は失敗することがないように慎重な作業を心がけると良いでしょう。
    困った事が発生した時にはお早めにプロの元へどうぞ!

  • エンジン不動の原因は…

    プロの仕事にお任せを!

    バイクの整備に関してある程度のスキルを持っている方なら、自分でメンテナンスを行って調子を整えているというケースが多いです。
    今回修理を行ったバイクを所有しているお客様も、日常的にメンテナンスを実施していてそこそこメンテナンステクニックには自信を持っていたそうです。
    でも、いきなり走行中に調子が悪くなったなと思っていたらエンジンが動かなくなってしまい、自分なりに原因を探してみたもののさっぱりわからなくなってしまったということで修理のご依頼を受けました。

    エンジン不動の原因は何なのかを探るのがプロの仕事です。
    これまでに何例ものバイクを修理してきた腕の見せ所!ということで気合が入りました。
    自分が手を加えてみたところ、動いたのは良いですがマフラーから黒煙がモクモクと出てくるくらいに排ガスが濃くなっていて、すぐにプラグがカブるという現象が見られました。
    キャブレーターもいじってみましたが特に変わった様子が見られないため、最終的にはエンジンに問題ありと判断しました。

    確認してみたところ、シリンダヘッドが外れていてバルブが真っ黒になるほどカーボン堆積している状態でした。
    カーボンが噛んでいる状態になっているため圧縮が漏れて弱くなっていたと考えられます。
    キレイにカーボンを洗浄して元通りに調整したところ良くなってくれました。

    エンジンが動かない時にチェック!

    おそらく、エンジンがかからなくなって焦ってしまった経験があるという方も多いはずなので、エンジンが動作しないという時に確認していただきたいことをご紹介します。

    セルが回らないという場合には、キルスイッチがオフになっていないか、サイドスタンドをしっかり払っているか、ギアがニュートラルになっているか、バッテリーやヒューズの確認をしてください。
    特にバッテリーのトラブルが発生してエンジンがかからないという症状を訴える方が多いため、バッテリーの確認はしっかり行うようにしてください。
    なお、バッテリーを交換したばかりなのにエンジンがかからないという場合にはレギュレーターかジェネレーターが故障している可能性も考えられます。

    セルは回っていてもエンジンが始動しないという場合にはガソリンの残量や状態を確認しましょう。
    特にしばらくバイクに乗っていなかったという場合にはガソリンが古くなって燃焼しにくくなっている可能性もあります。
    プラグコードやプラグカブりも確認して必要があれば交換や掃除をしてください。
    また、うまく混合気が作られていない可能性もあるため、エアクリーナーやキャブレーターの状態を確認してみましょう。

    これらのチェックポイントを確認してもまだエンジンがかからないという場合には、お早めに修理を依頼してください。

  • スポーツスター系のエンジンの持病

    よくある故障事例

    スポーツスターに乗っているオーナーさんから寄せられることが多い故障事例はエンジンがかからないという故障です。
    つい最近までは問題なく始動できたのに、ある日突然エンジンがかからなくなるという事例が多いです。
    ある意味、スポーツスター系エンジンの持病とも言える症状だと言えますが、具体的にどのような原因があるのかをご紹介します。

    参考:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1499881039

    基本的なメンテナンス不足

    季節によってオイルの粘度を変えるというのはある意味常識になっていると思われますが、夏も冬も同じオイルを使用しているという方も少なくないようです。
    夏と同じオイルで冬も使っていると、エンジンがスムーズにかかりにくくなるという症状が見られます。
    オイルを取り替えた記憶がないという場合には、まずオイルの種類を確認してみることをおすすめします。

    また、プラグがカブっている、濡れているなどの問題が生じているのに何も対応していないというケースも多いです。
    プラグを磨いてみるか、プラグを交換してみると案外すんなりと始動する場合があります。
    問題なくプラグに火が飛んでいるようであれば他の原因を考えてみましょう。

    他にはキャブ詰まりの可能性も考えられるため、分解点検をする必要があります。
    クランクポジションセンサーの故障もよくあることなので、異常を感じた場合には早めに点検を行うか、プロに相談することをおすすめします。
    考えられる原因を一つずつ検証して、該当箇所を確実に修理していくことで正常な状態に戻すことができます。
    修理をする際には「ここはきっと大丈夫なはず」という思い込みをせずに、考えられる原因を一つずつ潰していくことが大切なのです。

    充電系統不良のバッテリー電圧不足

    スポーツスター系エンジンに起こりやすい原因をあらかじめ把握しておけば、簡単に原因を突き止めることができるようになります。
    さっきまで走行できていたのに、エンジンを停止してから再始動しようとするとエンジンがかからなくなったという事例があります。
    先日相談されたお客様もこのケースで、走行している際にボルトメーターの電圧が上がっていなかったことからバッテリーの電圧不足が考えられました。

    確認してみたところ、レギュレーターの出力もなかったことからカバーを取り外してステーターコイルを確認してみると、ここが原因でした。
    クランクケースと接触していたことで擦れてしまい、焼けた状態になっていました。
    これがスポーツスター系エンジンの持病とも言える症状の一つで、他にもよく発生し得る問題になります。

    早速新しい部品に交換し、クランクケースと接触しないように組み立てて無事に修理が完了しました。
    数日後、このお客様から順調にエンジンが始動できるようになり走行にも全く問題ないと報告を受けたので安心しました。