くせ者、カワサキ ザッパー系エンジン

しばらく動かしていないと起こりやすい

かつては次世代エンジンとしてもてはやされたカワサキのザッパー系エンジンを搭載した車種は既に廃番になっていますが、今でもザッパー系をこよなく愛しているオーナーさんはたくさん存在しています。
どちらかといえば若い年齢層よりも中高年に愛されている車種なので、普段はあまり動かすことができずに車庫で眠った状態になっているというケースも多いです。
ようやく時間に余裕が生まれたので久しぶりに愛車を動かしてみよう!と思い立ってエンジンをかけようとしたところ、エンジンがかからないというケースが多いです。
ザッパー系に限らず、他の車種でもしばらく動かしていない場合にはエンジンがかかりにくくなる場合もありますが、ザッパー系に関しては特に多いと言われています。

修理を手掛ける立場の自分としては、くせ者のカワサキザッパー系エンジンという認識があり原因の予想が簡単に思いつくのです。
今回はザッパー系を修理した時の様子をご紹介します。

くせ者と言われる原因

ザッパー系エンジンをくせ者呼ばわりしている理由は、ワンウェイクラッチ(スタータクラッチ)が滑っていることが原因になっています。
セルモーターを回してもクラッキングできないため、モーターだけが空回りしている状態になってエンジンが始動しないという状況になります。
以前からここが弱点と言われていて、同様の症状を訴える方がとても多いのです。

今回のお客様は、昨年バイクを動かそうとしてみたところ、なかなかエンジンをかけることができなかったので他の店に修理を依頼してもらっていたそうです。
その後問題なく走行できていたそうですが、今回は約1年ぶりに動かそうと思ったところまたエンジンがかからなくなったということで相談を受けました。

早速外してみたところ、クラッチを固定するはずのボルトに緩みが生じていたことが原因だったようでした。
ボルトをしっかり固定させるためのロック剤を施していなかったことも原因のように見受けられました。
こんな適当な修理をするなんて、前回修理したお店とは一体どこで担当をした整備士は誰なのだろうか?と個人的に興味が湧いてきました。
今回は間違いなく修理をさせてもらったのでしばらく大丈夫だと思いますが、ザッパー系エンジンの場合はスタータクラッチのトラブルが多いことから再度エンジンがかからなくなるトラブルが起こる可能性もしっかり説明させてもらい、また何か不具合があった時には遠慮なく相談してくださいとお伝えしました。

クラッチトラブル以外にも、単純にバッテリーが弱っていることが原因でエンジンがかからなくなる場合もあるので注意が必要です。
弱っている状態のバッテリーなのに、更に何度もセルを回そうとするとあっという間にダメになってしまうのも仕方がないことです。