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  • ブレーキシューのメンテナンス

    摩耗しやすい消耗部品

    現在主流のバイクはディスクブレーキになっていますが、旧式のバイクは前後またはリアだけにドラムブレーキが採用されている車種が存在しています。
    ドラムブレーキはドラムの内から外に圧をかけてスピードを落とすという仕組みになっているため、ブレーキをかける頻度が多いほど摩耗しやすく、定期的な交換が必要になります。
    ドラムブレーキの交換部品はブレーキシューと呼ばれるもので、しっかり確認しながら交換時期を見計らうことが大切です。

    ブレーキシューの交換時期

    ドラムブレーキの場合はブレーキシューが摩耗するほどブレーキがかかりにくくなるため、しっかり確認しておかなければ危険な状態になります。
    大体の交換時期を判断する方法として調整幅を目視することである程度の目安を判断できます。
    ブレーキレバーを握ってみてドラムのレバーが動いている部分を確認すると印が入っている部分があるので、目盛りの範囲内に収まっているか確認してください。
    目盛り内にあればまだ大丈夫と判断できますが、あくまでも目安に過ぎないのであまり信用しすぎないでください。
    目盛りを超えてしまっているという場合には明らかに交換しなければいけませんので、速やかに交換するようにしてください。

    ブレーキシューの減り方は走行の仕方によっても異なるため、一概に何万キロで交換という目安が存在しません。
    目視で目盛りをチェックしながら、自分の感覚としてブレーキのかかり具合が変化していないかを確認することが大切です。

    ブレーキシューのメンテナンスについて

    ブレーキシューを交換する際には特に必要な専用工具はありませんが、ホイールを取り外すために必要なサイズのめがねレンチを準備しておきましょう。
    アクスルシャフトを抜く際にはブレーキロッドにあるナットを外してからチェーンナットをゆるめましょう。
    この時、尋常ではないほど硬いと感じるのでプラスチックハンマーがあれば叩いて外すようにしてください。

    ホイールについているブレーキシューとブレーキパネルを外してからブレーキクリーナーをかけて柔らかいウエスで拭きとってください。
    ホイールベアリングのグリス切れやサビ具合などを確認し、必要であればグリスアップや交換を行ないましょう。

    ブレーキパネルから古いブレーキシューを取ってから新しいブレーキシューを取り付け、ドラムにセットしてみてからしっかり稼働するかを確認してください。
    もしもシューとドラムに引っかかる部分がある場合はもう一度取り付けし直してください。
    後は元通りに取り付けをしますが、必要な部分はしっかりグリスを塗布するようにしましょう。

    ブレーキシューの交換時期は人それぞれですが、きちんと記録簿に残しておくと次回の目安の時期を把握できるようになります。
    定期的にチェックをして安全運転ができるようにしましょう。

  • ステムベアリングのメンテナンス

    そのまま運転し続けるのは危険!

    フラフラと走行しているバイクを見ていると不安を感じるものですが、ライダーの運転テクニックの問題だけでなくバイクそのものに問題があるかもしれません。
    直進走行時の安定性が悪くて、わだちになっている部分を乗り越えようとした時にあまりにも不安定な状態になるほどふらつくという場合にはステムベアリングが異常をきたしている可能性が高いです。

    ステムベアリングがダメージを受けていることがわかりやすいのは、バイクの免許を取得した時に皆さんも苦労しながら練習したはずの「一本橋走行」をしてみましょう。
    おそらく、運転テクニックには自信があるはずの教官でもステムベアリングがおかしいバイクで運転をするとあっという間に脱輪するはずです。
    それほどバランス感覚を狂わせてしまう原因になるので十分注意してください。
    このまま運転し続けるのは非常に危険なので、速やかに交換していただきたいものです。

    ステムベアリング交換の目安

    ステムベアリングは頻繁に交換するものではありませんが、経年劣化に伴い摩耗してダメージを受けるものです。
    交換時期の目安を判断する方法としては、まず車体をまっすぐにした状態からジャッキなどを使用してフロントタイヤを浮かせて左右にゆっくり動かしてみましょう。
    真ん中でタイヤが止まったらベアリング交換の時期だと考えてください。
    正常な状態では左右に動かしても引っかかることなくスムーズに動くはずです。
    このような症状が確認できた場合には速やかにステムベアリングの交換を実施してください。

    参考:http://docodocodoco.com/bike/nijijyotennkenn.html#tenken-stembearing

    ステムベアリングのグリスアップ、交換

    ステムベアリングのメンテナンスを行う際には、三つ又から先の部品は全部取り外すことになります。
    車種によってはセンタースタンドが存在していないため、ジャッキなどを準備しておくと良いでしょう。
    アウターレースを抜き取る際には専用工具を使用するかスチール角材で叩くことで取れます。
    どうしても取れない場合には温めることで簡単に取り外しできるようになります。

    グリスアップを行う場合には灯油などを使ってローラーを洗浄してから極圧性の高性能グリスを使用してグリスアップしましょう。
    交換を行う場合には専用のフックレンチを使用してください。
    なお、ベアリングを叩いて入れる際にはベアリングを直に叩いてしまうのではなく、ローラーが当たらない部分を叩くのがコツです。

    ステムシャフトのベアリングを交換する際には専用工具があると良いのですが、わざわざ用意するのが大変だという場合にはタガネを使ってインナーレースを叩くことでベアリングを浮かせることができます。
    思っていたほど大変な作業にはならないと考えられますので、ゆっくりと落ち着いて作業を行ないましょう。

  • リアサスリンクのメンテナンス

    サスペンションの動きをスムーズに

    最近走行性能が良くないなと感じられる場合にはサスペンションの調子があまり良くないのだと考えることができます。
    サスペンションのコンディションを最善の状態に整えておくためには、リアサスリンクのメンテナンスを定期的に行うようにしてください。
    サスペンションの調子が悪いという時にはリアサスリンクのグリスが切れていることが原因になっている場合が多いです。
    きちんとメンテナンスをしていないリアサスリンクは、ネバネバで汚い泥状になっていたりカチカチに乾いた状態になっているため、古いグリスをしっかり落としてグリスアップを施すことでサスペンションの調子が抜群に良くなるものです。

    リアサスリンクのお手入れ

    まずはリアサスリンクの周辺にある汚れや錆をしっかり取り除きます。
    バイクからリンクを取り外し、手でリンクを動かしてみると状態の悪さが確認できます。
    スムーズに動く場合は問題ありませんが、片方を手で抑えてもう片方を離してみると、その重さで垂れ下がることがないくらいに滑りが悪くなっている場合もあります。
    ここまで動きが鈍っていると相当のグリス切れ状態になっていると考えられます。

    リンクを構成している部品の向きや組み立てをする順番を忘れないよう丁寧に並べて分解します。
    それぞれのパーツをしっかりパーツクリーナーを使って丁寧に洗浄してください。
    洗浄する際にパーツの構成がわからなくならないように注意してください。

    各パーツの洗浄が終わったら、新しくグリスアップをしていきますがグリスの種類にもこだわってください。
    耐水性に優れ、高荷重耐性にも優れているリチウムグリスやウレアグリスを準備しておくと良いでしょう。
    まずは全体にグリスを塗布してから仮に組んでみて動きを確かめてみてください。
    問題なくスムーズに動くようであればしっかり組み立ててバイク本体に戻して取り付けしましょう。

    合わせて行ないたいメンテナンス

    リアサスリンクのメンテナンスと合わせて行ないたいのが、スイングアームピボットのメンテナンスです。
    リアサスリンクの動作性を更にアップさせるためにも行うと良いメンテナンスなので、面倒かもしれませんがぜひ一緒に行うことをおすすめします。

    この場合は車体の真ん中を浮かせる作業が必要になるため専用スタンドがあると便利です。
    ピボットシャフトにも古いグリスが乳化しているなどの劣化症状が見られる場合があります。
    丁寧に清掃を行って、関連しているナットなども全てきれいに清掃してください。

    なお、リアサスリンクやスイングアームピボットシャフトの取り付けを行う際には指定されているトルク値を守ってください。
    あくまでもセルフメンテナンスは自己責任になるため、安全性を維持するためにもメーカー指定のトルク値を守りましょう。

  • ステムシャフトの曲り、歪み

    正面から見ると…

    バイクを走行させるとおかしな振動を感じるようになったのでパンクでもしたかな?と思って確認したところ問題ないので何がおかしいのか見てもらいたいとのことで修理を依頼されたスクーターがありました。
    確認させてもらったところ確かにパンクをしていない状態で特に問題はなさそうに感じられましたが、もしやと思い正面からバイクを見てみると明らかにタイヤが曲がっていたのです。
    真っ先に疑ったのはフロントフォークに曲りが生じてしまったか、ホイールに歪みが生じてしまったのかと思いましたが、特に大きな傷も見られなかったこと、ホイールが大きく振れることもなかったので他に原因があると考えました。

    お客様の話によると、ひょっとしたら数日前にコンビニに入ろうとした際に段差を乗り越えたところ転んでしまい、その時から走行時におかしな振動を感じるようになったとのことでした。
    転倒した衝撃でステムシャフトの曲りもしくは歪みが生じている可能性が高いと判断し、バラしてみることにしました。

    タイヤが曲がっていた原因が判明!

    分解をしてみた結果、タイヤに曲りが生じていた原因がわかりました。
    フロントサスペンションのボトムリンクに原因があったようです。
    ボトムリンクのピボットシャフトがグリス切れで固まっていたことが悪かったようです。

    どうやら段差を乗り越えようとした衝撃で、サスペンションがフルストロークしたことで戻らなくなってホイールがずれたまま段差を乗り越えたのでタイヤの荷重が抜けてしまい転倒に至ったのだと考えられます。
    ホイルベアリングを交換し、清掃とグリスアップをして元通りにしたところ問題なく走行できる状態になりました。
    特に大きな修理を行ったわけでもなく、転倒時の怪我もなかったようなので大事に至らず良かったですが、できれば定期的にボトムリンクのグリスアップをしておけば良かったのかもしれません。
    いずれにしても結果論に過ぎませんが、日頃のメンテナンスをしっかり行うようにしておくことが事故を防ぎ余計な出費を防ぐ第一歩になると考えておくと良いでしょう。

    フロントフォークが曲がっていた場合

    今回最初に疑ったフロントフォークの曲りもよく修理で行う部分です。
    走行しているとハンドルを真っ直ぐにしているつもりなのに、なぜか右または左へと自然に曲がっていくという現象が見られる場合があります。
    転倒後によくある症状ですが、自分でも簡単に調整することもできるのでぜひお試しください。

    まずはトップブリッジにあるナットをゆるめ、フロントフォークの上にあるボルトもゆるめ、フェンダーの根元とアクスルシャフトにあるボルトもゆるめてからハンドルを持ってフロントフォークを何回かストロークさせてゆるめたボルトを全て元通りにするだけです。
    これで直らなければプロに相談をして早めに調整しましょう。

  • 外国製のスクーター

    乗りやすさが魅力だけど…

    スクーターは日本でも幅広い年齢層の方が使用しており、様々な種類のスクーターが流通しています。
    国産メーカーのスクーターも多いですが、最近は外国製スクーターの数も増えています。
    国産の場合は取り扱っているメーカーが限られている一方で、外国製については様々なメーカーで取り扱っており品質も良いです。
    国産以外にも外国製を選択肢の一つとして検討する方も多く、実際に愛用している方が増えています。

    外国製のスクーターを所有するお客様が増えてくると、修理の依頼が入る件数も多くなってきます。
    当店のお客様にもスクーターが好きで、アジアやヨーロッパなどのメーカー製スクーターを数台所有している方がいます。
    国産メーカーの外観とは異なるカッコよさがあるため、入庫してくると他のお客様からどこのスクーターなの?とよく聞かれます。
    外国製スクーターは国産とは異なるカッコよさがあり、乗り心地なども全く異なる点が魅力的だと考えている方も多いようです。

    国産より修理が難しい!?

    さて、そんな魅力溢れる外国製スクーターですが、修理の依頼を受けると困ってしまうことがあります。
    日本の修理業者としてかなり痛い話なのですが、外国製のスクーターはなかなか部品を入手しにくいのです。
    最近は日本でも外国製スクーターの人気が出てきたこともあり、販売代理店などに部品の在庫を確保するようにしているケースも増えています。
    それでも古い車種になるほど部品を入手できるケースが少なくなり、なかなか思うように修理が進まないケースがたくさんあるのです。

    今回修理を依頼されたヨーロッパにあるバイクメーカーのスクーターは、たまたま燃料ホースを取り替えだけで済んだため、すぐに部品を確保することができました。
    しかし、難しい部分が故障していたため新品に交換しなければいけないという場合には簡単に部品が見つからないため修理することも難しいという状況になるかもしれません。
    国内に部品がない場合には、メーカーの本社に問い合わせをしてみなければいけない場合もあるため、仮に部品が供給されていたとしても日本に届くまでには時間が必要になりますし、部品代としてもかなり高くつくことも予想されます。
    場合によっては部品代よりも送料の方が高くなることも考えられるため、お客様にとっても腑に落ちない部分があるかもしれません。

    修理を行う立場としては、明らかに故障している部分がわかっているのに修理するための部品がないばかりに修理ができないなんてもったいない話です。
    できるだけ元通り走行できる状態に戻したいのですが、思うように直せないとなれば自分の不甲斐なさを感じてしまいます。
    できれば、国内に部品のストックをしているメーカーの製品を購入していただいた方が万が一の時にも対応しやすいです。

  • 自分で修理すると逆に高くつくことも…

    失敗することもあるのです

    大事に思っている愛車だからこそ、自分でお手入れをして長く乗り続けたいと考えるのは当然です。
    自分の好きなバイクへとコツコツ時間をかけてカスタムするのも楽しいもので、休日になれば一日中でもバイクをいじっているという方も多いはずです。

    バイクの修理やカスタムを自分ですると費用があまり高額にならないという利点があります。
    修理店などに依頼するとどうしても工賃が発生しますが、自分で行うならかかるお金は材料費だけなので工賃分を安く仕上げることができるのです。
    でも、場合によっては自分で修理すると逆に高くつくことがあるかもしれないというお話をご紹介します。

    取り付け方を間違えていた!

    今回ご紹介するお客様も、普段からバイクをいじるのが好きな方だったのですが、自分でマフラーの塗装をして取り換えてみたところ排気ガスが漏れて大変なことになり、これ以上は手の施しようがないとSOSを求めてきました。
    実はこのような事例は決して珍しくなく、特にバイクいじりを始めたばかりの方に多いという印象を受けます。

    早速バイクを確認してみたところ、エキパイのフランジが違う組み方をしていたことが原因だったようでガスケットに面圧がかからない状況になっていました。
    また、エキパイとマフラーのジョイントガスケットが無残なくらいボロボロになっていたので交換することにしました。

    更に、カバーの塗装を行う際に外したまま動かしたことでステーターコイルの配線まで切ってしまうといたようです。
    配線を元通りにして組み立てをしようと思ったら、今度はガイドプレートも存在していません。
    この部品も大事なのできちんと新しいものを取り付けることにしました。

    アクセルが効かなくなった!

    走行途中でいきなりアクセルが効かなくなったので見てもらいたいと来店されたお客様がいました。
    当店のすぐ近くでアクセルが効かなくなったので慌てて自分で押して来店されたそうです。
    このお客様も自分でバイクをいじるのが好きな方で、ひょっとしたら自分のやり方がまずかったのだろうかと不安そうな顔をされていました。

    確認をしたところ、グリップ部分のアクセルワイヤーが切れていたことが原因でした。
    お客様も心当たりがあったらしく、きっとあの時にワイヤーをラジオペンチでつまんでしまったのが悪かったのかな…と言っていました。
    おそらくこの時につまんだ負担が時間と共に切断されてしまった結果を生んだのだと考えられます。

    今回のように自分でバイクをいじったことが原因で結局はお金がかかることになってしまったという事例は少なくありませんが、少し高かった勉強料だと前向きに考えて次回は失敗することがないように慎重な作業を心がけると良いでしょう。
    困った事が発生した時にはお早めにプロの元へどうぞ!